2012-01-01から1年間の記事一覧

『孤独について』 中島 義道

矮小で、些細で、暗く、陰気な悩みと 体の隅々まで沈殿した醜い虚栄心や計算と 徹底的に向き合い 人間嫌いと世間嫌いを「完成」させ 孤独を選び獲得した壮絶な人生がある。もしも、今「人間嫌い」であり 真に不幸という自覚がある人がいるのなら 本書は小さ…

『愛の解剖学』 カール・グラマー

自分の感情に従いながら、 感情の重みの分だけ相手を喜ばせようと思って選択した 行動が、メッセージが、 全て裏目に出てしまった経験はないだろうか。若かった頃、そうして終わった恋が 一つ二つないだろうか。その度に、必要なのはもっと相手を読む技術だ…

『タテ社会の人間関係』 中根 千枝

自分の個別的な人間関係に近視眼的に夢中になっていると、 自分が求める人間関係の構造的条件が見えなくなってくる。なぜ自分は彼の人が此の人より重要で、 其の人とはこうこうこのような関係を望むのか、自分が置かれている人間関係の力学を、 もう一度見直…

『科学革命の構造』 トマス・クーン

何もしていないのに、 何かをしたつもりになっていることは愚かと言われるが、何もしてない誰かを、 何かをした気分にさせ、 そこに対価が発生すれば、 それは何かをしたことになるらしい。自分が何かを成したと思いたいがために、 彼が何かを成したと、彼に…

『スタンフォードの自分を変える教室』 ケリー・マクゴニガル

一つ一つと事を済ませるたびに、 行動を駆り立てるカードが入れ替わっていく。時々、ルーレットのように円環状にならんだ行動のリストが、 目の前で回転するのが見えるような気がする。輝いていたものの輝きが終わり、 暗くモノトーンに沈んでいたものが色彩…

『虹の解体』 リチャード・ドーキンス

休みがまっている。 また走り出すための休みが。集中して走るために、 封印してきた感動や感性が沢山ある。次のステップに行くためには、 感動の解放をすることが大切なのではないだろうか。それは骨休めや一時のレクリエーションとは違う。 本質的に学び直…

『孤独』 アンソニー・ストー

孤独、孤独、孤独なクリスマス。 こんな日は家に内にこもるに限る。しかしいつからこうなのだろう。 私たちは、満足感を得られるほど親密な関係が幸福をもたらすことこそ理想であり、もしそうでなければその人間関係には何か欠陥があるに違いないという思い…

『代数系入門』 松坂 和夫

年末だ。 出来事を振り返るのもいい。 やれたことやれなかったことのリストを振り返るのもいいだろう。でも今日は杜撰(ずさん)にすませたまま宙吊りになっている思考たちを振り返ろう。それには再読に限る。 とくに数学書は必ず自らの怠慢に気づかせてくれ…