『物理数学の直観的方法』 長沼 伸一郎

大学数学を学び始めると、

定理のもっている「意味」や「図学」を考えることを、

厳しく諌められることがある。


そんなものは証明ではないと。


たしかに証明ではないが、

図学や直観的理解は役に立つ。


定理は確実に覚えなければ使えないが、

強固な記憶を作るには、

どこかで直観的にとらえたイメージを持つことが役に立つのだ。

なるほど厳密さというものを無視したならば、数学の体系がどれほどぼろぼろになってしまうかは容易に想像がつく。しかしながら数学とは本来道具なのであって、そうであればこそ理工系の必修科目になっているのである。もちろん純粋数学の価値を認めないわけではないが、道具としての使い勝手を忘れては本末転倒である。

[目次]

  1. 積分、面積分、全微分
  2. テイラー展開
  3. 行列と固有値
  4. e^iπ=-1の直観的イメージ
  5. ベクトルのrotと電磁気学
  6. ε-δ論法位相空間
  7. フーリエ級数フーリエ変換
  8. 複素関数・複素積分
  9. エントロピーと熱力学
  10. 解析力学
  11. 三体問題と複雑系の直観的方法