『孤独について』 中島 義道

矮小で、些細で、暗く、陰気な悩みと
体の隅々まで沈殿した醜い虚栄心や計算と
徹底的に向き合い
人間嫌いと世間嫌いを「完成」させ
孤独を選び獲得した壮絶な人生がある。

もしも、今「人間嫌い」であり
真に不幸という自覚がある人がいるのなら
本書は小さなきっかけになるかもしれない。

孤独の「価値転換」のための。

孤独とは自分に課せられたものではなく、自分があらためて選びとったものだという「価値観の転換」に成功すると、そこにたいそう自由で居心地のよい世界が広がっていることに気づく。孤独とはもともと自分が望んだものだということを―葡萄はすっぱいと言ったあのウソップの狐のような―負け惜しみではなく、心の底から確認すると、孤独を満喫することができる。すれはすなわち、自分の固有の「人生のかたち」を満喫することであり、孤独が履き慣れた靴のように心地よくなることである。

生きるのが困難な人々へ 孤独について (文春新書)

生きるのが困難な人々へ 孤独について (文春新書)

[目次]

  1. ずっと孤独だった
  2. 孤独な少年時代
  3. 孤独な青年時代
  4. 孤独を選びとる
  5. 孤独を楽しむ
  6. 孤独に死にたい