『物理数学の直観的方法』 長沼 伸一郎

大学数学を学び始めると、

定理のもっている「意味」や「図学」を考えることを、

厳しく諌められることがある。


そんなものは証明ではないと。


たしかに証明ではないが、

図学や直観的理解は役に立つ。


定理は確実に覚えなければ使えないが、

強固な記憶を作るには、

どこかで直観的にとらえたイメージを持つことが役に立つのだ。

なるほど厳密さというものを無視したならば、数学の体系がどれほどぼろぼろになってしまうかは容易に想像がつく。しかしながら数学とは本来道具なのであって、そうであればこそ理工系の必修科目になっているのである。もちろん純粋数学の価値を認めないわけではないが、道具としての使い勝手を忘れては本末転倒である。

[目次]

  1. 積分、面積分、全微分
  2. テイラー展開
  3. 行列と固有値
  4. e^iπ=-1の直観的イメージ
  5. ベクトルのrotと電磁気学
  6. ε-δ論法位相空間
  7. フーリエ級数フーリエ変換
  8. 複素関数・複素積分
  9. エントロピーと熱力学
  10. 解析力学
  11. 三体問題と複雑系の直観的方法

『新教養主義宣言』 山形 浩生

手に取った一冊の本に期待した、

その最初の「期待」を、

つぶさに思い出してみると、

浅はかで現実的な動機だけが思い出されるが、


こちらの期待を遠く超えて、

予期しない世界と接続させてくれる意外性をもつ本も多い。


その意外性こそが読書の魅力だ。


そんな魅力に直球で向き合った楽しい本。


たぶんそこがぼくにもできるところなんだと思う。単発の話では、その分野の専門家がいてある程度きちんとした話をしてくれる。そういうのや、さらにはいろんな生活上・仕事上・あるいは単純な興味上でみんなが関心を持っている話題がブチブチとした形であちこちに散らばっている。それをうじゃうじゃつなげていくこと。だって、ホントにつながっているのですもの。

新教養主義宣言 (河出文庫)

新教養主義宣言 (河出文庫)

[目次]

プロローグ.心ときめくミームたちをもとめて

  1. 人間・情報・メディアを考える
  2. ネットワーク経済を考える
  3. ぼくたちの文化のあり方を考える
  4. 平和・人権・民主主義―社会システムを考える
  5. 「おもしろさ」の秘密について考える

エピローグ.21世紀に託す絶望と希望

『わが師わが友』 朝永 振一郎

楽しんでいたり、

何かに熱中している時、

時間はあっという間に過ぎる。

そういう経験は一般に肯定されることが多いが、

時間が過ぎ去っていくのを恐れるあまり、

逆に何かに「ハマる」ことを躊躇することはないだろうか?

まだ問題の形もなしていない何かのために、

足踏みしてしまう。


クリアすべき課題を自分で見つけなければいけない時には、

何が課題として適格かという、

一つメタな課題がつきまとう。

そうして考えているうちに、

メタな思考はさらにメタに進み、

「自分探し」に近くなるほど、

遠ざかっていく「現実」に、

焦る。

四月三十日 今日も結局、何もしないようなものだ。このごろ、いかにも理窟に合わない気分がぼくの行動を支配している。その気分の根本は時間のたつのをおそれるということらしい。それが妙なことに、だから何もしないでいたいというふうに作用する。何かすることによって、せっかくの時間が消えてしまうような気がするのだ。つまり、何かをやることによって「時間のたつのを忘れる」ことがいやなのらしい。

[目次]

  1. わが師 わが友
  2. 滞独日記
  3. 帰郷日記
  4. 十年のひとりごと
  5. 私と物理実験
  6. 鏡のなかの世界
  7. 数学がわかるというのはどういうことであるか
  8. 科学者の自由な楽園

読書効率を飛躍的に高めるちょっとした工夫

ページの四隅を折り曲げて「ポインター」として使う(これを「角ポインター」と呼んでいます)ことによって、効率的復習と高速レファランスが可能になります。

例えば以下のページで赤線の引いてある文をチェックしておきたい場合。

























右上と左下の「角ポインター」を使います。
(以下「右上ポインター」「左下ポインター」などと言ったりもします。)



















































複数個所をマークしたい場合も、折り目が記憶をしてくれるので大丈夫です。












































































この方法のメリットは

● 重要な事が書いてあるページにでっぱりをもたせることでレファランスを容易にする。

● 重要なページではなく、重要な文章にダイレクトにアクセス出来る。

● 何箇所でも簡単にマークできる。

● ペンや付箋などの道具を使わないので、通勤電車でも準備いらずで実行できる。

結果

○ 一度読み終わった後、重要なな部分のみ読み返すことで知識の定着率をアップ出来る。

○ 「折り方を工夫する」という視点が持てる。

『論理の方法』 小室 直樹

フレームワークだのマトリックスだのが流行っているが、

複雑化することを厭わずに思考を深める姿勢が軽視されていないだろうか。


どこまでも「自分で」考え掘り下げるという覚悟があって初めて

時間の制約の中で結論を出したり、一度立ち止まって思考を整理するための

純化やカテゴライズが役に立つ。


そこが終わりでも始まりでもないのだ。

単純な思考に始まって単純な思考に終わるだけのおもちゃならいらないと思う。


整理の方法ではなく、

現実を鋭く見通すための、あるいは現実に立ち向かうための仮説としての、

モデルを学ぼう。


論理を自由自在に使いこなすにはどうしたらよいか。その秘訣はモデルを自分自身で作ってみることです。モデルは論理の結晶だからです。

論理の方法―社会科学のためのモデル

論理の方法―社会科学のためのモデル

[目次]

序章. 社会には法則がある―ソヴィエト帝国は何故崩壊したのか

  1. 近代国家の原理と古典派経済学モデル
  2. ケインズ経済学モデル
  3. マクス・ヴェーバーにみる宗教モデル
  4. マクス・ヴェーバーにみる資本主義の精神
  5. 丸山真男の日本政治モデル
  6. 平泉澄の日本歴史モデル

『集合と位相』 松坂 和夫

「論理的思考」という言葉がガチャガチャ煩しい。

必要条件と十分条件の違いだのMECEだの、

しつこいくらいに量産される本を見ていると、

論理「的」の「的」で踏みとどまっている人間を、

際限なくかもり続けているようにしか見えない。


論理「的」思考しか訓練していない人間が、

論理学や集合論や証明の概念を整理できるようになれるはずがないから。



「論理的」ではなく「論理」を勉強しよう。

何が論理かを知ってはじめて、論理に近づくベクトルとしての「論理的」が見えてくる。



そして、多くの人の使う「論理的に話すと」という前置きが、

常に別な表現に言い換えられるほとんど論理と関係のない枕詞に過ぎないことを知って、

「論理的」から解放されよう。

今日の数学では、ほとんどすべての理論のはじめに、まず一つの集合と、その上の数学的構造をこれらの言語によって記述する公理とが与えられ、そこを起点として理論が展開される

集合・位相入門

集合・位相入門

[目次]

  1. 集合と位相
  2. 集合の濃度
  3. 部分集合、Zorn補題
  4. 位相空間
  5. 連結性とコンパクト性
  6. 距離空間

『すべてはモテるためである』 二村 ヒトシ

あなたは今モテているだろうか?

あなたが若く、そしてモテていないのなら、


どんなに仕事がうまくいっても、

どんなに人間関係がうまくいっても、

どんなに趣味がうまく進んでも、


どこかで「モテたい」という欲求が芽を出してくるはずだ。


認めようじゃないか、「モテ」は基本欲求なのだ。


そして「モテ」はそれだけじゃない。


あなたがモテれば、


多少の仕事のトラブルも、

少しこじれた人間関係も、

行き詰った趣味も、


全てが好転する、とはいかないまでも

受け入れられるようになるだろう。


「モテ」はそれほどの力を秘めている。


では、なぜ、あなたはモテないのであろうか?


なぜモテないかというと、
それは、あなたがキモチワルイからでしょう。

すべてはモテるためである (文庫ぎんが堂)

すべてはモテるためである (文庫ぎんが堂)

[目次]

  1. どんなふうにモテたいか?どんなふうにモテないのか?
  2. 恋愛する前になんとかしておいたほうがよいこと
  3. どこで出会うのか。誰と出会うのか。
  4. どうやって「恋愛」するのか。
  5. モテてみた後で考えたこと。

[特別対談] 國分功一郎×二村ヒトシ