『基礎 量子力学』 猪木 慶治,川合 光

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自分の周りに満ち溢れている読めない記号たちを見ていると、

自分が見ることの出来ない世界の広さに悔しくなる。

自分だけが十分に楽しめていないのではないかと焦る時がある。



空を見て、星の輝きに感動すればするほど、

その輝きの真実が分からない自分が悲しくなる。



書店で、図書館で、膨大な本棚を見るたびに、

自分のアクセス出来ないタイトルたちがけたたましく呼びかけてくる気がする。



そんな、好奇心が両刃の剣になってしまった人たちに必要なのは、

教養という名のパッチワークの雑学ではなく、

統合という名の誇大妄想でもない、

確かな基礎力。

このように、運動方程式にはスカラー・ポテンシャルやベクトル・ポテンシャルは直接現れないのであるが、ラグランジアンで書こうとすると、ポテンシャルの方が電磁場よりも基本的であるように見える.いままで見てきたように、量子力学では、古典的な運動方程式よりもラグランジアンハミルトニアンの方が基本的な概念であるであるから、量子論では電磁場そのものよりもポテンシャルの方が自然な量であると思ったほうがよい。

基礎量子力学 (KS物理専門書)

基礎量子力学 (KS物理専門書)

[目次]

  1. 量子力学へのあゆみ
  2. 光と電子の波動性と粒子性
  3. シュレーディンガー方程式
  4. 1次元の問題―束縛状態
  5. 1次元の問題―反射と透過
  6. 中心力場のシュレーディンガー方程式―3次元の場合
  7. 量子力学の一般的性質
  8. 角運動量とスピン
  9. 電磁場中の荷電粒子
  10. 同種粒子
  11. 近似法

『天職は寝て待て』 山口 周

「大人になったら分かるよ」「結婚したら分かるよ」

そして

「就職したら分かるよ」


子供のころ飽きるほど聞いてきた大人たちのこの様なフレーズに

何度となく言いくるめられてきたことか。

釈然としないまま時が経ち、

大人たちの怠慢か説明能力の欠如だと思っていたおなじみのフレーズも、

当然の様に受け入れるようになっていった。



畳の上で泳ぎ方を練習するような、自らの幼い想像を懐かしみながら。



しかし転職論とはこのような「大人詐欺」に挑み続ける営みである。

つまり、「転機」というのは単に「何かが始まる」ということではなく、むしろ「何かが終わる」時期なのだ、ということです。逆に「何かが終わる」ことで初めて「何かが始まる」とも言えるのです。ところが、多くの人は、後者の「開始」ばかりに注目していて、いったい何が終わったのか、何を終わらせるのかという「終焉の問い」にしっかりと向き合っていません。

天職は寝て待て 新しい転職・就活・キャリア論 (光文社新書)

天職は寝て待て 新しい転職・就活・キャリア論 (光文社新書)

[目次]

  1. 転職は、なすべきか、なさざるべきか
  2. 従来の転職の「方法論」の問題
  3. いい偶然を呼び込むには?
  4. 「攻め」の転職と「逃げ」の転職
  5. エモーショナル・サイクル・カーブへの対処

『死について!』 スタッズ・ターケル

死について考える時はいつも、

あまりにも雑な言葉しか持っていないことに愕然とする。


言葉を紡ぎだす才能がなければ、

言葉を見つけよう。


相手の言葉を引きだす天才が、

あらゆる職業・年齢の人から「死」についてのインタビューを行った。


死について経験したことがある人は誰もいなくても、

死は誰もがいずれ経験することだから、

誰もが考えを秘めている。

小さな声が頭のなかでささやくんです。
「とてもがまんできない。解決方法はひとつしかない」
―死!それが唯一の脱出口だと。
(ディミトリ・ミヘイラス 61歳 物理学者)

死について!―あらゆる年齢・職業の人たち63人が堰を切ったように語った。

死について!―あらゆる年齢・職業の人たち63人が堰を切ったように語った。

[目次]

  1. 医師
  2. ER(特命救急)
  3. 法と秩序
  4. 戦争
  5. 母と息子
  6. 神の羊飼い(聖職者)
  7. 赤の他人
  8. 臨死体験
  9. 橋からの眺め
  10. ベビーブーム世代
  11. 父と息子
  12. カントリー・ウーマン
  13. 疫病Ⅰ
  14. 老人
  15. 疫病Ⅱ
  16. はるかな異国で
  17. 芸術に生きる
  18. コメディアン
  19. 死者の日
  20. もうひとりの息子
  21. 仕事
  22. 終わりと始まり

『採用基準』 伊賀 泰代

自己啓発系のビジネス書を読むといつも思うことがある。


論理力、コミュ力、分析力、その他幾千の「○○力」が大切なことはよく分かった。

著者の周りの偉人伝もそれなりに楽しかった。


でも、


薄給の上、残業代もボーナスもない中小零細企業で、

終電、タクシー帰りは当たり前、

人格的にも能力的にもどうしようもない上司に傷害スレスレの精神攻撃を受けながら、

それでもそこに残るしか選択肢のないような状況で、

役に立つような「○○力」って、


きっとコレじゃない。



そんなものを安易なキーワードに求めることが、

高望みかつ視点がずれているのは分かるが、

自己啓発系の著者にはそれくらいの密度を目指して欲しいと、

いつも思ってしまう。

どんな場合でも、他者を巻き込んで現状を変えていこうと思えば、必ずリーダーシップが必要になります。世の中には、「どうすればいいのか、みんなわかっているが、誰も何もやろうとしないために、解決できないまま放置されている問題」が溢れています。反対に、「答えさえわかればすぐに解決できるのだが、その答えが見つからない」のは、技術的な問題など、人や組織が絡まない問題だけです。自分の言動を変えるのは自分一人でできるけれど、自分以外の人の言動は、リーダーシップなくしては変えられないのです。

採用基準

採用基準

[目次]

  1. マッキンゼーの採用マネージャーとして
  2. 誤解される採用基準
  3. 採用したいのは将来のリーダー
  4. さまざまな概念と混同されるリーダーシップ
  5. リーダーがなすべき四つのタスク
  6. マッキンゼー流リーダーシップの学び方
  7. リーダー不足に関する認識不足
  8. すべて人に求められるリーダーシップ
  9. リーダーシップで人生のコントロールを握る

『ポジティブ病の国、アメリカ』 バーバラ・エーレンライク

他者の正当な「負の感情(怒り、軽蔑、嫌悪など)」と向き合おう。

認知療法や論理療法の自己流解釈や、
自己啓発のグルたちが喧伝するオカルト心理学によって、

(一時的には)他者の言葉や、自らのネガティブな感情を分解できるかもしれない。


しかし、他者の言葉の裏にある、他者の感情の色合いまで忘れてはいけない。

自分のネガティブな感情の裏で確かに存在する、自分の意志までは忘れてはいけない。


「ポジティブ病」は病なのだ。

救命胴衣であるようにいわれているポジティブな「思考コントロール」だが、実際に行うとなれば耐えがたいほどの負担にもなりかねない。自分自身の意見があいまいになり、重要な情報が入ってこなくなるのだ。われわれには、場合によっては恐怖心やネガティブな思考が顔を出さないよう注意する必要も出てくるだろう。だが、つねに必要なのは、自分の外側の世界に対して警戒を怠らないことだ。これまでに述べてきたように、そうしないと危険なのである。
現実に油断なく向き合うことは、幸福を追求する妨げにはならない。

ポジティブ病の国、アメリカ

ポジティブ病の国、アメリカ

[目次]

  1. 微笑みで死を遠ざける?
  2. 望めば何でも引き寄せられる?
  3. 歴史から見る、アメリカ人が楽観的なわけ
  4. 企業のためのモチベーション事業
  5. 神はあなたを金持ちにしたがる
  6. ポジティブ心理学―幸せの科学
  7. ポジティブ・シンキングは経済を破壊した
  8. ポジティブ・シンキングを乗り越えて

『こうして私は53歳で、また東大生になった』 平岩 正樹

いつでも呼び出し、加工し、他と関連付けることが出来るような「強固な記憶」を作るには、
どこかで「受験的勉強」が必要になる。

教科書であれ、読み物であれ、本を次から次へと読み飛ばしていくだけでは、
強固な記憶は作れないのだ。


「勉強」という名に値する行為には、受験的勉強の要素が含まれていなければならない。


高校教科書でも中学教科書でいい、
改めて読み返しながら、受験勉強によって得ることが出来た知識を振り返ってみよう。

読み飛ばした本たちが与える微かな断片的記憶とつかの間のドーパミン経験と比べて、
はるかに豊かなモノが自分に与えられている(いた)ことに気がつくだろう。

強固で、体系的で、無駄なく整理されている知識。

受験的勉強方法を忘れてはいけない。

受験勉強で、たとえば世界史や日本史を勉強したことだけでも、今までの人生で何百冊もの歴史書を読むことよりもはるかに実りの多いものだった。「文系高卒の学力」が身についただけでも、それなりに世の中がよく見えてくる。

こうして私は53歳で、また東大生になった

こうして私は53歳で、また東大生になった

[目次]

  1. もう一度、思う存分勉強したい
  2. これが平岩流・必勝勉強法だ
  3. 東大の入試システムと英数対策
  4. 関門の国語と日本史はここまでやった
  5. 熱中すれば受験勉強もまた楽し!
  6. 勉強は楽しいからする「道楽」である

『差別感情の哲学』 中島 義道

誰にでも一人二人いるのではないだろうか。

その人を前にすると、つい故ない軽蔑、敵意、憎悪を抱いてしまう、
そんな相手が。

お題目としての愛、共感、相互理解は分かっていても、
「明日こそは優しくしよう」といくら決心しても、

いざ当の相手に直面すると、湧きあがえる「負の感情」が邪魔をして、
積極的に受け入れることが出来ない。


沈黙によって、負の感情と共に湧き立つ罪悪感を見ない振りしたり、

「次こそは」と呟きながら、どこかで残酷な視線と言動を正当化してしまう。


もしそんな相手がいて困っているのなら、
(相手ではなく)自らの「負の感情」そのものについて考えてみる必要があるかもしれない。

われわれがある人に対して(ゆえなく)不快を覚え、ある人を(ゆえなく)嫌悪し、軽蔑し、ある人に(ゆえなく)恐怖を覚え、自分を誇り、自分の帰属する人間集団を誇り、優越感に浸る…という差別感情は、―誤解されることを承知で言い切れば―人間存在の豊かさなのである。

差別感情の哲学

差別感情の哲学

[目次]

  1. 何が問題なのか
  2. 他人に対する否定的感情
  3. 自分に対する肯定的感情
  4. 差別感情と誠実性
  5. どうすればいいのか